企業の採用活動では「母集団形成の難化」と「広告費の高騰」という課題が顕在化しています。そのため多くの企業が対策としてSNSを採用活動に活用し始めており、その重要性は年々高まっています。
一方で、求人媒体の掲載単価は上昇傾向にあり、採用コストを抑えつつ優秀な人材へリーチする手段が求められているといえるでしょう。
こうした状況で注目されるのが「Facebook採用」です。実名制を特徴とするFacebookは、30〜50代の経験者採用で特に効果が期待できます。
本記事では、Facebook採用のメリット・デメリット、具体的な活用方法、成功事例を整理し、実践的なポイントをご提案します。
目次
Facebook採用とは
「Facebook採用」とは、企業のFacebookページや広告機能を活用し、求人情報や企業文化を発信しながら応募者を獲得する採用手法です。
実名制のプラットフォームであるため、応募者の経歴などプロフィールの信頼性が高い点が大きな特徴といえます。さらに、Messengerを通じてカジュアルなコミュニケーションから面接日程の調整まで行えるため、選考フローの効率化にもつながります。
Facebookと他SNSの立ち位置
各SNSは、それぞれ異なるユーザー層や特徴を持っています。そのため、採用したいターゲットに合わせてプラットフォームを使い分けることが重要です。
プラットフォーム | 主なユーザー層 | 特徴 | 採用向き職種 |
---|---|---|---|
30〜50代 | 実名制・ビジネス利用率が高い | 中途・管理職 | |
10〜30代 | 写真・動画中心のビジュアル訴求 | 接客・販売・アパレル | |
X(旧Twitter) | 20〜40代 | 拡散力が高く、リアルタイムな情報発信向き | 新卒・広報・ITエンジニア |
25〜45代 | 職務経歴の公開が前提のビジネス特化型 | 専門職・技術職・外資系 |
Facebookは「実名制」と「社会人ユーザー層」という明確なポジションを持つため、特に経験者採用において強みを発揮すると考えられます。
実名制がもたらす採用メリット
Facebookは実名登録が基本です。そのため、応募者の学歴や職務経歴を事前に確認しやすく、採用におけるミスマッチの防止につながります。また、共通の友人や「知り合いかも」といったネットワークを通じて、社員やフォロワーからの紹介(リファラル採用)が生まれやすい点も特徴です。SNS特有のシェア機能により、信頼性の高い応募が期待できるでしょう。
採用担当者が知っておきたいFacebook採用のメリット
Facebookで採用を行う上でのメリットは下記のようなものが挙げられます。
- コスト削減
- 潜在層への拡散
- プロフィールの信頼性
- カルチャー発信
- 高精度な広告
それぞれ詳しく解説していきます。
コスト削減
Facebookページからの投稿は無料で行えるほか、クリック課金型の広告も活用できます。一般的な求人広告媒体と比較して、費用を抑えながら採用活動を進めることが可能です。
潜在層への拡散
投稿がフォロワーにシェアされることで、その友人や知人といった「転職潜在層」にも情報が届きます。これにより、まだ積極的に転職活動をしていない優秀な人材にもアプローチできる可能性があります。
プロフィールの信頼性
実名制であるため、応募者のプロフィールから学歴や職歴、興味関心などを事前に把握できます。これにより、面接前に候補者への理解を深めることができ、選考の効率化やミスマッチの低減につながります。
カルチャー発信
文章だけでなく、写真や動画を組み合わせて職場の雰囲気や社員の様子を伝えられます。企業文化を多角的に見せることで、候補者は入社後の働き方をイメージしやすくなり、入社後の定着率向上も期待できるでしょう。
高精度なターゲティングによる広告
Meta社が提供する広告プラットフォームでは、年齢・居住地・言語・学歴・職歴・興味関心など、詳細な項目でターゲットを設定できます。採用したい人物像に近いユーザーに絞って求人情報を届けられるため、広告効果の最大化が可能です。
Facebook採用に潜むデメリットと対処法
Facebookで採用を行う上でのデメリットは下記のようなものが挙げられます。
- 若手層へのリーチ不足
- 非ユーザーへ届かない
- 運用工数がかかる
- 炎上リスク
それぞれ詳しく解説していきます。
若手層へのリーチ不足
各種調査によると、日本の10代〜20代のFacebook利用率は他のSNSに比べて低い傾向にあります。そのため、新卒採用や若手層をメインターゲットとする場合には、Instagramなど他のプラットフォームとの併用が効果的です。
非ユーザーへ届かない
Facebookを利用していない求職者には、当然ながらアプローチできません。この機会損失を防ぐため、企業の採用サイトや、Indeedなどのアグリゲーション型求人サイトにも同じ求人情報を掲載し、応募の窓口を複数確保しておくことをおすすめします。
運用工数がかかる
効果的なFacebook採用を行うには、継続的なコンテンツ投稿と、ユーザーとの誠実なコミュニケーションが不可欠です。これらの業務には一定の工数がかかるため、担当者の負担が大きくなる可能性があります。リソースが不足する場合は、専門のSNS運用代行サービスに委託することも有効な選択肢でしょう。
炎上リスク
SNSは情報の拡散が速いため、意図しない投稿が批判を浴び、炎上につながるリスクを常に抱えています。不用意な発言や不適切な写真が企業のブランドイメージを大きく損なうことも考えられます。投稿前のチェックリスト作成や、複数人での確認体制、そして万が一の事態に備えた対応マニュアルの策定が重要です。
Facebook採用で成果を上げた企業の事例
ソフトバンク株式会社
新卒向けと中途向けのFacebookページを個別に運用し、それぞれのターゲットに合わせた情報発信を最適化しています。中途採用ページでは技術領域ごとの求人広告を配信するなど、戦略的な活用が見られます。
スターバックス コーヒー ジャパン株式会社
Fecebookでは新商品の投稿だけでなく、震災の復興支援などの活動も紹介しています。働く時間以外の姿を発信することで、会社への興味を喚起し、応募につなげている事例です。
※参照元:Starbucks Partners Japan 公式Facebookページ
国土交通省
堅いイメージを払拭するため、職員へのインタビューや省内イベントの様子などを定期的に配信しています。説明会の告知を広告で拡散するなど、Facebookを広報ツールとして積極的に活用しています。
※参照元:国土交通省 採用Facebookページ
ALM Beauty Lounge
美容師採用において、テキスト情報を極力減らし、写真などのビジュアルを重視した画像広告を配信しています。商材やサービスの魅力が直感的に伝わるようなクリエイティブが特徴です。
※参照元:タイミーラボ
ハウスコム株式会社
Facebookだけでなく、TwitterやYouTubeなど複数のSNSを連携させています。各メディアの特性を活かして情報を発信し、採用ページへの導線を複数構築することで、応募機会の最大化を図っています。
※参照元:HR-Hack
SNS運用代行の活用も選択肢に
Facebook採用のメリットは大きい一方で、継続的な運用には専門知識とリソースが必要です。成果を最大化するために、専門の運用代行サービスを活用することも有効な手段と考えられます。
- 運用工数の削減
投稿コンテンツの企画・作成やコメント監視などを委託することで、採用担当者はコア業務に集中できます。
- クリエイティブ品質の向上
専門家による動画編集や広告コピーの作成により、候補者のエンゲージメントを高め、より質の高い応募につながる可能性があります。
- リスク管理の強化
24時間体制のモニタリングや、炎上発生時の迅速な初期対応など、専門的なノウハウに基づいたリスク管理が期待できます。
まとめ:まずは小さく始めて効果検証を行いましょう
Facebook採用は、低予算で経験豊富な人材層にリーチできる点が大きな利点です。実名制という信頼性の高さを活かし、企業の魅力や文化を丁寧に発信することで、採用におけるミスマッチを減らす効果が期待できます。一方で、若年層へのアプローチや日々の運用、炎上対策には工夫が必要です。
これからFacebook採用に取り組むのであれば、まずはビジネスページを開設し、週に1〜2回の投稿から始めてみてはいかがでしょうか。
もし社内のリソース不足やノウハウ不足でお悩みの場合は、専門の運用代行サービスの活用を検討するのも一つの手です。
本サイトでは人気の運用代行サービス7社を徹底比較しています。運用代行サービスをお探しの方はぜひ参考にしてみてくださいね。